ライブで使うキャノン砲とは?会場視点での使用上の注意点も解説
ライブやコンサートの演出効果として人気の高いキャノン砲。
観客の興奮が最高潮に達する瞬間に、色とりどりのテープや紙吹雪が空中を舞う様子は、そのイベントの象徴的な一場面として記憶に刻まれます。
しかし、その実施にあたっては会場との事前相談や各種申請など、主催者側で準備すべき事項が数多く存在します。
本記事では、イベントの成功に向けて押さえておくべきキャノン砲演出の基礎知識から、会場選びのポイント、実施までの具体的な流れまでを、会場運営の視点を交えて詳しく解説していきます。
目次
キャノン砲とは?ライブを盛り上げる演出効果の基礎知識
キャノン砲は、圧縮空気の力を利用して様々なアイテムを打ち出す演出装置です。
主にライブやコンサートの盛り上がりのクライマックスや、アンコールの際に使用され、会場全体の一体感を生み出す重要な演出装置として定着しています。
特に日本のライブシーンでは、アーティストと観客をつなぐ重要なコミュニケーションツールとしても機能しており、打ち出されたアイテムは後々まで大切な思い出として保管されることも。
また、SNSでの拡散効果も高く、イベントの話題性を高める要素としても注目されています。
ここからは、具体的なキャノン砲の種類や、実施に向けた注意点について詳しく見ていきましょう。
キャノン砲の種類と特徴
ライブやコンサートで使用されるキャノン砲は、打ち出すアイテムによって特徴や効果が大きく異なります。
それぞれの特性を理解し、イベントの規模や目的に合わせて最適な選択をすることが重要です。
銀テープ
銀テープは、日本のライブカルチャーを代表する演出の一つです。
アイドルやJ-POPのライブの他、音楽番組などでも定番の演出となっています。
巻かれた状態の銀色のテープがキャノン砲で打ち出され、空中で広がりながら観客の上を舞う様子は、まさに感動的な瞬間を演出します。
使用する際は、テープの長さや幅、素材の選定が重要で、会場の天井高や空調の状況によって最適な仕様が異なってきます。
また、回収のしやすさや保管のしやすさから思い出の品になりやすく、特にアーティストのロゴなどが入った銀テープは観客も人気の高いアイテムとなっています。
紙吹雪
紙吹雪は、色とりどりの小さな紙片を一斉に打ち出す演出です。
様々な色を組み合わせることで、華やかで祝祭的な雰囲気を演出することができ、特に大規模なイベントやフェスティバルでの使用に適しています。
打ち出し時の視覚的なインパクトが強く、写真や映像での見栄えも抜群です。
ただし、紙吹雪は床に落ちた後の回収作業に時間と手間がかかるため、会場との事前相談や清掃計画の策定が特に重要になります。
また、空調設備や舞台機構へ入り込まないように考慮する必要があります。
ウォーターキャノン
主に夏フェスなどの夏季の野外イベントで使用される演出で、細かい水滴を霧状に噴射します。
照明と組み合わせることで幻想的な演出が可能で、同時に観客の暑さ対策としても機能します。
使用する水の量や質、噴射範囲の調整が重要で、電子機器への影響も考慮しながら実施する必要があります。
また、観客の持ち物が濡れることへの配慮として、使用タイミングの事前告知も検討すべきポイントです。
その他アイテム
Tシャツやタオル、サインボール、様々な景品など、観客へのプレゼントとして配布するアイテムを発射する使い方も人気です。
特にアーティストのグッズやサイン入りアイテムは、ファンにとって特別な思い出となります。
ただし、これらのアイテムは比較的重量があるため、安全面での配慮が特に重要です。
発射角度や強さの調整、着地予想範囲の確保など、慎重な計画が必要です。
また、公平な配布のために、発射方向や本数についても十分な検討が求められます。
キャノン砲実施の際に注意したい会場の選び方4選
キャノン砲演出を成功させるためには、会場選びが極めて重要です。
適切な会場を選定することで、演出効果を最大限に引き出すことができ、同時に安全面でのリスクも最小限に抑えられます。
以下、具体的なチェックポイントを見ていきましょう。
キャノン砲に適した会場の選び方 |
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天井の高さ
キャノン砲演出において、天井の高さは最も重要な確認事項の一つです。
観客への安全性の観点から、条件が合わないと実施が難しくなります。
特に銀テープを使用する場合、テープが十分に広がり、美しく舞い降りる様子を演出するためには、適切な高さが必要不可欠です。
また、会場の天井には照明やスピーカー、空調設備やスプリンクラーなど、様々な設備があるため、特別な配慮が必要です。
設備への直撃や機材への干渉が無いように、事前に位置関係を考慮したうえで、影響のない角度での発射を条件とされます。
会場の広さ
会場の広さは、キャノン砲の設置数や発射位置を決める重要な要素となります。
客席エリアの面積と、想定収容人数を考慮しながら安全な発射位置となる十分なスペースの確保が必須です。
さらに、効果的な演出を実現するために適切な距離感や、非常口、バックヤードとの位置関係も考慮しましょう。
会場の形状は平面図だけでは把握しきれない部分もあるため、実際に現地を視察したうえで、可能かどうかの判断が必要でしょう。
レイアウト
キャノン砲の演出効果を最大限に引き出すためには、会場内の適切なレイアウトが不可欠です。
ステージとの位置関係や観客席との距離、避難動線の他、テクニカルセクションの機材配置など、様々な観点で調整が必要です。
また、演出効果をより高めるには、記録用のカメラチームや、照明チームとの連携も不可欠です。
さらに、紙吹雪などは空調の影響を受けやすいため、会場との調整も必須でしょう。
観客の安全確保と、演出効果の両立を考慮したレイアウトプランニングが重要です。
会場側のルール
キャノン砲を実施する際には、会場のスペックだけでなく、各会場が定める独自のルールや制限事項への準拠も不可欠です。
設置可能エリアや発射角度の制限があるほか、発射の検証図面の提出など、安全性を確保していることを明確に示すことを求められるケースがあります。
また、後片付けや清掃に関する取り決めなど、安全管理の観点や、翌日以降の別催事への影響を考慮した対応も必要です。
なお、空気圧式のエアキャノンであれば基本的に規制対象外ですが、火薬式の場合は危険物となるため、地域の消防法に準拠した申請手続き等が必須です。
ただし、イベント規模や会場の条件によっては、エアキャノン式でも届け出が必要になる場合があるため、詳細ルールについては各会場と必ず打ち合わせしましょう。
キャノン砲演出の実施までの流れ
ライブでキャノン砲を実施するためには、安全に配慮した計画的な準備と確実な実施が欠かせません。
会場決定後の時系列に沿って、必要な準備と確認事項を詳しく解説していきます。
キャノン砲実施の4ステップ |
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①事前準備
キャノン砲演出の実施にあたっては、まず会場管理者への許可申請と消防署への届け出から始めます。
会場提出用の図面には、機材の設置位置や発射方向、安全確認事項を明記します。
会場担当者との打ち合わせはおよそ1ヶ月前には完了し、必要に応じて2週間前までに消防署への届け出などを行いましょう。
同時に、専門スタッフの手配と、キャノン砲本体、ボンベ、スイッチなどの必要機材、会場規模に応じたテープや内容物の準備を行います。
②設営作業(本番当日)
設営は、本体の設置から始まり、最適な発射角度の調整、スイッチボックスとの接続、電源確保、テープの充填という順で進めます。
設置後は、信号ケーブルの抜け防止ロック、接続部分の安全性、発射角度など、チェックリストに基づいた入念な安全確認を実施します。
なお、会場や消防からの指示があった場合など、必要に応じて発射テストなども実施しましょう。
③本番実施
本番では、発射数秒前からの照明調整、音楽のリズムに合わせた発射タイミングなど、進行通りの対応をします。
万が一の際に、緊急で中止の判断ができる環境を整えることも重要です。
スタッフ間の連携を密にすることで、安全かつ効果的な演出の実現ができます。
④撤去作業
演出終了後は、使用したテープの完全回収と会場の清掃作業を徹底して行います。
舞台機構などの会場各設備へ入り込んでいないかどうかなど、入念にチェックしましょう。
また、会場備品への影響がないことを確認し、会場管理者への報告・確認を経て作業完了、搬出となります。
ライブでキャノン砲を成功させるなら会場選びから!
キャノン砲演出は、会場選びから実施まで入念な準備を行うことで、観客の心に残る感動的な演出となります。
天井高や設置場所、安全基準など、会場ごとに異なる条件を理解し、それぞれに適した演出プランを立てることが重要です。
特に初めての実施では、安全性の確保から演出効果の最大化まで、様々な観点からの検討が必要となります。
キャノン砲の実施に当たっては、専門の特殊効果会社がありますので、必ず相談しましょう。
また、当社では、イベント会場運営の専門性の高いコーディネーターが、これまでの豊富な実績や経験を活かし、会場選定から当日の演出まで、お客様のライブ演出等を理想を実現するためのトータルサポートをご提供しています。
ライブ演出にこだわった会場を探すなら「会場探しコーディネーター」まで、ご相談ください。

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会場探しコーディネーターメディア編集部
運営会社:株式会社シアターワークショップ
“劇場・ホールに関することはなんでもやっている”、トータル・シアタープロデュースカンパニー。40年にわたり構想・計画づくり、設計・施工にも携わる劇場づくりのノウハウをもとに、劇場・ホール・イベントスペース運営の専門家集団として、全国20以上の施設管理を支援。年間1,000件以上のイベントを会場管理者の立場からサポート。企業の新商品発表会、展示会、コンサート、セミナー、企業研修など、幅広い用途に対応する会場選定の実績を持つ。
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