関西の埋立地開発史|2025年大阪万博・夢洲から神戸ポートアイランド・西神まで
いよいよ2025年大阪・関西万博が4月13日より開幕しました。
万博会場となる夢洲が、実は長年にわたってごみの最終処分場だったことをご存知でしょうか。
関西の都市発展を支えてきた埋立地は、単なる土地確保の手段を超えて、未来都市創造の実験場となってきました。
この記事では、話題の夢洲から神戸のポートアイランド、そして西神ニュータウンまで、埋立地と丘陵開発が織りなす関西の魅力的なエリアをご紹介します。
目次
大阪万博会場「夢洲(ゆめしま)」は巨大な"ごみ島"
2025年大阪・関西万博の会場となる夢洲は、大阪市が1970年代後半から約50年間にわたってごみを埋め立てて造成した人工島です。
大阪の埋立地開発の代表例として、まさに注目の的となっています。
夢洲の造成は1970年代後半に開始され、大阪市内で発生する一般廃棄物や建設残土を活用して段階的に拡張されてきました。
現在の面積は約390ヘクタールで、そのうち万博会場として約155ヘクタールが活用されているようです。
また、万博開催に向けては、液状化対策や地盤改良工事が大規模に実施されています。
埋立地特有の地盤の課題を解消するため、最新の地盤改良技術が投入され、安全で快適なイベント空間の実現に向けた準備が進められていました。
なお、万博終了後には、IR(統合型リゾート)の開発も計画されており、2030年度の開業を目指して建設が進められています。
ごみの最終処分場から万博会場、そして国際的な観光拠点へと変貌を遂げる予定の夢洲は、埋立地開発の可能性を示す象徴的な存在といえるでしょう。
大阪湾の埋立地が都市機能を拡張してきたワケ
大阪湾岸エリアの埋立地開発は、単純な土地不足の解消だけが目的ではありません。
廃棄物処理、港湾機能の拡充、そして住宅・商業施設の整備という複数の課題を同時に解決する、効率的な都市開発手法として発展してきました。
この手法の最大のメリットは、限られた予算で複数の都市課題を解決できる点です。
廃棄物処理費用の合理化と新たな土地創出が両立でき、港湾エリアの拡張により物流機能も強化されます。
そして何より、計画的な開発により理想的な都市空間を一から設計できるのも大きな魅力です。
ただし、埋立地開発には技術的な課題も伴います。
例えば、メタンガスの発生や液状化リスクへの対策が必要で、特に大規模施設を建設する場合は、安全性の確保が最優先事項となります。
これらの課題に対しては、地盤改良技術の進歩により、現在では十分に安全な施設建設が可能になっています。
関西圏では、こうした埋立地開発のノウハウが蓄積され、成功事例が生まれてきました。
その代表例が、神戸のプロジェクト「ポートアイランド」です。
「山、海へ行く」神戸の壮大な土砂循環システム
神戸のポートアイランドは、1966年から開発が始まった本格的な人工島都市として知られていますが、その誕生には驚くべき土砂循環システムが関わっています。
「山、海へ行く」この表現で呼ばれた神戸市の画期的な取り組みこそ、ポートアイランド開発の核となっていました。
ポートアイランドの埋め立てに使用された土砂の多くは、実は西神地区の丘陵を切り崩して得られたものだったのです。
この土砂循環システムは、神戸市の1960年代から1970年代の大規模都市開発戦略の一環として実施されました。
戦後の急激な人口増加と住宅不足に対応するため、山の土砂を海へ運び、同時に居住エリア(西神)と業務・港湾エリア(ポートアイランド)という機能分散型の都市づくりを実現したのです。
そして、ポートアイランド第1期(約443ヘクタール)は、この壮大な土砂移動により誕生しました。
住宅、教育・研究、医療、商業、港湾機能を一つの島に集約した多機能な都市として発展し、現在は神戸医療産業都市として医療関連企業や研究機関が立地しています。
さらに、神戸学院大学や兵庫医科大学などの教育機関も設置され、多くの人々が生活・就業する人工島として機能しています。
現在では、イベント拠点としても、ワールド記念ホールや神戸国際展示場などの施設が整備され、関西圏の重要なMICE拠点の一つとなっています。
土砂供給源となった「西神ニュータウン」の発展
一方で、ポートアイランドに土砂を提供した西神地区は、その後どうなったのでしょうか。
実は、丘陵を切り開いた跡地は、関西圏の大規模ニュータウンへと生まれ変わりました。
西神ニュータウンの開発は1972年に起工し、1982年の街開きから40年以上が経過した現在、成熟したニュータウンとして発展してきたのです。
ただの住宅地ではなく、神戸研究学園都市として兵庫県立大学や神戸芸術工科大学などの教育機関、先端技術の研究開発拠点、そして西神中央の商業集積が有機的に連携した複合型の開発が実現されました。
また、注目すべきは、ポートアイランドと西神ニュータウンを結ぶ交通インフラも、当初から一体的に計画されていた点です。
神戸市営地下鉄西神・山手線は、この両エリアを結ぶ重要な交通軸として設計され、海上都市と丘陵都市をシームレスに接続しています。
この開発は、限られた平地しかない神戸市が山と海を活用した効率的な都市拡張を実現した、日本の都市計画史上でも注目される事例とされています。
土砂を移動させることで、一つの都市に二つの全く異なる特色を持つエリアを同時に創出したのです。
西神中央エリアの文化拠点
出典:https://kaijosagashi.theatre-workshop.co.jp/seishinhall/
この西神ニュータウンの中心部に位置する西神中央ホール(なでしこ芸術文化センター内)は、地域の文化拠点として2022年10月に開館しました。
この施設は、都市型ホールの機能性と郊外立地ならではの余裕ある空間を両立している点が特色です。
施設概要として、500席規模のメインホールをはじめ、多目的に利用できるスタジオやルーム、アートスペースなど多機能な構成となっています。
また、建物外部の交流広場と内部をつなぐスライディングウォールにより、イベントの内容に応じて多様な使い方が可能です。
アクセス面では、神戸市営地下鉄「西神中央」駅から徒歩3分の好立地で、神戸三宮から約30分という利便性を実現しています。
駐車場も確保されているため、関西圏各地からの来場者にとってもアクセスしやすい環境です。

まとめ:土砂循環が生み出した関西圏の都市群
大阪の埋立地をめぐる物語を通じて見えてきたのは、単なる土地開発を超えた都市創造の歴史でした。
夢洲は、廃棄物の最終処分場から万博会場へと変貌を遂げ、さらに2030年度のIR開業に向けた開発が進む、都市再生の最前線です。
2025年万博では世界中から注目を集め、関西圏の国際的な認知度向上に貢献することが期待されています。
また、ポートアイランドと西神ニュータウンは、「山、海へ行く」という土砂循環システムによって同時に誕生した対の都市です。
開発から40年以上を経た現在も、それぞれが異なる機能と特色を持ちながら、関西圏の都市競争力向上に貢献し続けています。
海上の多機能都市と丘陵の研究学園都市という対照的な性格を持ちながら、地下鉄一本で結ばれた両エリアは、神戸市の先見性を示す都市計画の成功例といえるでしょう。
これらの事例は、限られた土地資源を最大限に活用し、複数の都市課題を同時に解決する統合的な都市開発の可能性を示しています。
今後も関西圏の持続的な発展において、こうした創意工夫に富んだ都市開発が重要な役割を果たしていくことでしょう。
関西エリアでイベント会場をお探しの際は、ぜひ西神中央ホールもご検討ください。
都心からのアクセスの良さと郊外の落ち着いた環境を両立した、理想的なイベント空間をご提供いたします。
会場見学も随時承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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