万博開幕で注目を集める大阪は、今まさにイベント開催の「ゴールデンタイム」を迎えています。
観光客の増加、宿泊施設の稼働率上昇、交通インフラの充実など、イベント成功に必要な要素が揃っているのが現在の大阪です。
本記事では、クロスロケーションズ株式会社が提供している人流分析プラットフォーム「Location AI Platform®」(以下、LAP)を活用し、開幕1週間の大阪万博の推定来場者の分析をもとに、この絶好のタイミングをどう活かすべきか、大阪のどのエリアでどのようなイベントを企画すれば最大の効果が得られるのかを考察します。
万博効果を最大限に活用するためのイベント戦略を、検討してみてはいかがでしょうか。
目次
万博開幕で大阪のポテンシャルが一気に上昇!?
2025年大阪万博の開幕により、大阪全体の集客力と経済活動が飛躍的に高まると予想されます。
博覧会協会の策定した「基本計画」によれば、会期中の総来場者数は約2,820万人と想定されており、1日平均約15万人の予想ですが、開幕1週間の動きはどうだったのでしょうか。
本調査では、LAPを活用して推計来訪者数を取得し、可視化・分析を実施しました。
※本記事で使用している来訪者数は、LAPに基づく位置情報データからの推定値です。(5分以上の滞在者をカウント)
万博協会などの公式発表入場者数とは計測基準や集計方法が異なるため、数字に乖離がある場合があります。
万博開幕1週間の来場者数
2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、初日に約14万6,000人という来場者数を記録しました。
博覧会協会公式が発表した一般入場者数の推移は、以下の通りです。
大阪万博開幕1週間の入場者推移 |
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出典:大阪万博2025公式サイト|来場者数と入場チケット販売数について
▼開幕1週間の大阪万博の人流データ推移▼
出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年4月時点)
グラフからもわかる通り初日の13日は人流データ上では15万人超を記録しており、週明け14日・15日は一度減少しています。
その後、週後半に向けて再び増加し、初の週末19日(土)では約9万6,000人の推計来訪がデータ上で確認されました。
今後も継続的な観測が必要にはなりますが、平日から週末にかけての動員数の推移は同じような動きになるのではないかと予想されます。
開幕1週間の動きとしては、平日であっても数万人規模の動員を記録している万博の集客力を示しており、大阪エリアへの人流のポテンシャルの高さがうかがえます。
なお、万博協会によれば、開幕から5月までの会期前半は過去の万博の傾向から落ち着いたスタートとなり、6月に向けて一度目のピークを迎えると予想されています。
時間帯別の来場者推移
時間別の来訪データからは9時の会場以降は特に午前中が常時数万規模で推移しており、万博協会が全体来場の7割が午前中に集中すると予想された通りの結果が来訪データ上からも見られました。
また、各曜日を比較してみても、来場のピークは基本的に午前中にあることが傾向として見られます。
万博の入場予約枠が9:00/10:00/11:00/12:00/17:00の5枠制で設定されているため、午前中の各時間帯に分散されているものと考えられます。
また、入場出入り口に関して、夢洲駅に近い「東ゲート」側には、5時台から多数の来訪が記録されており、始発から待機していた人もいたとみられます。
報道やSNSにもあったように、入場までに時間を要したことがデータ上からもうかがえます。
▼東ゲートゾーン アワリー来訪▼
出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年4月時点)
LAP のアワリー来訪データ上では、東ゲートゾーンよりも西ゲートゾーンのほうが推計来訪数が落ち着いていたため、ゲート数やスタッフ配置を踏まえると、西ゲートからの入場のほうがスムーズと予想されます。
▼西ゲートゾーン アワリー来訪▼
出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年4月時点)
また、1週目の混雑やトラブルを受け、万博側は通信トラブル防止のためにWi-Fiの設置など改善を進めており、今後については緩和が期待されます。
なお、帰宅時間帯も西ゲート側の方が空いている傾向があるため、退場時のラッシュを避けたい場合は、西ゲートを経由することも検討してみてはいかがでしょうか。
新大阪駅、関西国際空港、伊丹空港の来訪変動
期間 | 関西国際空港 | 伊丹空港 | 新大阪駅 |
---|---|---|---|
開催前(4/1〜4/12)平均 |
約 21,600 人/日 |
約 28,300 人/日 |
約 86,800 人/日 |
開催期間中(4/13〜4/19)平均 |
約 22,600 人/日 |
約 29,700 人/日 |
約 90,000 人/日 |
変化率 |
+4.6 % |
+5.1 % |
+3.7 % |
出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年4月時点)
開催前に比べ、開幕後は人流が増加しており、4月18日(金)には新大阪駅11万1,600人(週内最大)/伊丹空港3万1,600人/関西国際空港2万3,300人と、週末に向けて三拠点とも来訪が大きく膨らんでいます。
増加率は3~5%と、想定していたほどの劇的な増加傾向は現時点では見られませんでしたが、万博開催に限らず、平常時から十分に高い来訪基盤を持つことが確認できました。
なお、数値にはビジネス目的の他にも、USJや大阪城などを目当てとしたレジャー客、大阪発の乗り継ぎや周遊移動も含まれていると予想されます。
今後、万博来訪者がどこに訪れているのかなどの動向も、データが集まり次第追っていきたいと思います。
万博をチャンスに大阪が仕掛けどきな"今"、イベントをどう打ち出すか?
国内外からの人の流れが都市に流れ込んでいる今こそ、イベント主催者にとって絶好のチャンスと言えるでしょう。
この機会を活かすためには、時間・場所・人流の交点を戦略的に捉えることが重要です。
イベントの開催地選びでは、万博への人の流れや時間帯も加味した計画が効果的でしょう。
今回万博開催地となった大阪市内には、文化的背景や周辺環境も含めた総合的な魅力を持つイベント会場が多数あります。
例えば、梅田から徒歩圏内のエリアには、日本の文化・芸術を発信しながら、海外インバウンド需要も取り込めるスポットが点在しています。
イベント開催を検討する際は、会場選びから集客、運営に至るまで様々な要素を考慮する必要があります。
人流データの活用や専門家のサポートを検討することで、より効果的なイベント開催が可能になるでしょう。
今後も万博開催中の人流データを分析し、周辺エリアとの関連性についても情報発信を続けていく予定ですので、イベント企画の参考にしていただければ幸いです。
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会場探しコーディネーターメディア編集部
運営会社:株式会社シアターワークショップ
“劇場・ホールに関することはなんでもやっている”、トータル・シアタープロデュースカンパニー。40年にわたり構想・計画づくり、設計・施工にも携わる劇場づくりのノウハウをもとに、劇場・ホール・イベントスペース運営の専門家集団として、全国20以上の施設管理を支援。年間1,000件以上のイベントを会場管理者の立場からサポート。企業の新商品発表会、展示会、コンサート、セミナー、企業研修など、幅広い用途に対応する会場選定の実績を持つ。
最適な会場探しのノウハウを発信し、イベント主催者や企業担当者の課題解決をサポート している。
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