【Vol.5】大阪万博デザイナーズトイレ人流分析|話題と利用者数の意外な関係性を徹底調査

2025年大阪・関西万博では、会場内に8か所”デザイナーズトイレ”が設置されました。

いずれも、40歳以下の若手建築家による独創的な設計であり、デザイン面で大きな話題となっていました。

一方で、開幕直後の不具合や使い勝手などへの批判やトラブルも発生し、SNSでの炎上やメディアでも多数取り上げられるなど注目を集めている状況もみられます。

本レポートでは、クロスロケーションズ株式会社が提供する、ロケーションAIプラットフォーム(以下LAP)による人流分析データをもとに、万博開幕後から5月31日までの各デザイナーズトイレの日別推計来訪数の変化を分析します

「話題になったトイレが必ずしも利用されたトイレではない」という意外な分析結果も出ています。

是非、最後までご覧ください。

目次

    万博デザイナーズトイレ8箇所の比較一覧表

    今回話題となっている万博デザイナーズトイレは全部で8か所。

    一覧でご紹介します。

    トイレ名称(コード)

    テーマコンセプト

    エリア

    トイレ1(P83)

    中庭・別出入の庭園的空

    南東リング内(東ゲート付近)

    トイレ2(S72)

    大阪城「残念石」利用の柱

    南西リング内(西ゲート側)

    トイレ3(W77)

    膨張する空気膜の屋根

    南西リング内(西工区)

    トイレ4(W47)

    土を3Dプリントで積層出力した壁

    北西リング外

    トイレ5(W41)

    カラフルな箱ユニット重層

    北リング外(主要ゾーン隣接)

    トイレ6(F43)

    水循環の可視化&全員男女共用

    森エリア北東(端部)

    トイレ7(X13)

    鏡面パネルが景色と同化

    水辺中央(広場沿い)

    トイレ8(X14)

    多様性配慮の塔状トイレ

    水辺中央(広場沿い)

    ※実際のデザインや写真は公式サイト等でご確認ください。

    万博デザイナーズトイレ来訪者数ランキング

    出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」(2025年6月時点取得データをもとにBIツールにて可視化)

    デザイナーズトイレのスポットごとの人流データをもとにした、推定来訪者数をランキング形式でご紹介します。

    ※データは開幕初日2025年4月13日~5月31日まで

     

    8位:トイレ6 - 平均1,112人/日

    daily-toilet6出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ6は、隈翔平氏とエルサ・エスコベド氏(KUMA & ELSA)の日墨若手ユニットによる設計です。

    水が必須なトイレという建物自体を「水をテーマにしたパビリオン」と位置づけし、階段状の展望スペースを設けた特徴ある外観で、雨水の循環プロセスを体感できる建築になっています。

    さらに「すべての人間を一つの水の中にいる魚に喩える」といった哲学のもと、性別や世代の区別なく利用できるオールジェンダートイレといして、誰でも分け隔てなく利用できることを目指しました。

    また、森エリアの北東部に位置しており、デザインも周辺の自然エリアに溶け込み遠目には視認されにくく、主動線からは外れていることから人流も少なく、準じて利用者も少ないようです。

    加えて、オールジェンダーという観点も話題になっており「怖くて使えない」といった意見も出るなどで物議をかもしたこともあり、利用に躊躇する人もいたのではないでしょうか。

     

    7位:トイレ2(通称:残念石トイレ)- 平均1,496人/日

    daily-toilet7出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ2は、小林広美氏+大野宏氏+竹村優里佳氏(Studio mikkeほか)による共同設計のデザイナーズトイレです。

    「いのちをもつ庭」をテーマに、大阪城の残念石(再建用に切り出され使われず残った石材)を柱として大胆に組み込んだ意欲的な建築です。

    重さ13トンにも及ぶ400年前の石を4本用い、歴史的文脈と現代建築を融合させています。

    万博閉幕後は石を元の木津川の保管場所に戻す計画で、文化財を傷つけないよう配慮したものとなっています。

    しかし、開幕前から「残念石トイレ」としてメディアで注目され、文化財をトイレに使用するといった観点で、批判的な声も一部ありました。

    このトイレは南西リング内エリアに位置し、西ゲート寄りのゾーンにあります。

    周囲には休憩所やサテライトスタジオが併設されていますが、人の流れとしては中央部より少なめで、特に平日は閑散としやすい位置でした。

    話題性はありつつも、動線上他のデザイナーズトイレと比較しても来訪人数が伸びなかったのかもしれません。

     

    6位:トイレ3- 平均1,581人/日

    daily-toilet3-1出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ3は、小俣裕亮氏(new building office)による設計のデザイナーズトイレです。

    空気で膨らむ風船のような膜構造の屋根を持つユニークな構造となっており、屋根膜は光を透過し明るい空間を生み、気温に応じて上部に水を溜めて冷却する仕組みも備えています。

    1970年の大阪万博で実験された空気膜構造の技術を継承・アップデートした意欲作であ り、天候によって屋根の膨張・収縮や水の揺らめきが変化するという動的な特徴があります。

    場所はトイレ2と同じ西工区(南西リング内エリア)にあり、休憩所や展示施設に隣接しています。

    西ゲート寄りのやや外れた位置で、基本的な人流はさほど多くありません。

    ただし、デザイン上高さのある膜屋根が目立つため、遠くからも視認しやすく、トイレ6よりは利用率が上がったものと考えられます。

    SNSでも「静かに生きている建物が愛らしかった」といった声が見られるなど、コンセプト自体の評価は高かったようです。

     

    5位:トイレ4- 平均2,508人/日

    daily-toilet4出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ4は、浜田晶則建築設計事務所による設計のデザイナーズトイレです。

    3Dプリンターで“土の壁”を造形し、人と植物と環境をつなぐ峡谷のような空間を実現しています。

    自然界の有機的な地形を抽出し、土を層状に積層出力して外壁やランドスケープを構築する先進技術が用いられました。

    最新建築技術と土という原初素材を融合させた大胆な試みで、コンセプトのユニークさと技術的チャレンジが評価され、建築関係者からの注目度も高かった施設です。

    トイレ4は北西リング外エリアに位置し、比較的北ゲート寄りの西側外周にあります 。

    周囲には他に目立ったパビリオンが少ない一角でしたが、大型シグネチャーゾーン(テーマ館)に近い可能性があります。

    人通りは中程度ながら、北側リングから外へ出た先にあり少し見つけづらいロケーションでした。

     

    4位:トイレ1- 平均推定4,021人前後/日

    daily-toilet1出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ1は、井上岳氏・齋藤直紀氏・中井由梨氏・棗田久美子氏らによる設計のデザイナーズトイレです。

    かつて人工島・夢洲に存在した生態系をアーカイブしたような「夢洲の庭」をコンセプトとしており、トイレエリア内部に中庭を配した構造が特徴です。

    会場の南東エリア(リング内)に位置し、東ゲートから比較的近い場所にあります。

    北欧館の向かい側付近にあり 、初日から多くの来場者の目に留まりやすい立地でした。

    会場中央を巡る大屋根リングからも見下ろせる位置にあり、目立つ存在です。

    また、個室の入口と出口が別々につくられ、利用者は外側の入口扉から入り用を足した後、中庭側に出て別の扉から退出するという一方通行の動線になっている、かなりユニークな構造のトイレとなっていました。

    しかし、一般的なトイレとは構造が大きく異なるため、初見の利用者にとっては構造が理解されにくく、来場者が誤って扉をこじ開けようとして破壊されてしまう事象が相次ぎ、開幕直後に閉鎖される事態に陥っていました

    また女優の方などもX(旧Twitter)に投稿し、この構造自体への疑問や批判がニュースで話題に。

    こうしたネガティブな注目に対し、万博協会は4/17頃までに案内表示を追加設置するなどの改善策を講じました。

    初日の高い注目度とトラブルによる一時低迷を経て、運営側の早期改善策とメディア報道を通じ、徐々に使い方の認知が広がったことで利用が持ち直したと考えられます。

    終盤の再盛況ぶりからは、メディア露出が逆に宣伝効果となり「現地で実物を見てみたい」という来場者心理を刺激したのではないでしょうか。

    立地の良さもあり、結果的に多くの人が足を運ぶ結果となっています。

     

    3位:トイレ7- 平均4,066人/日

    daily-toilet7出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ7は、鈴木淳平氏・村部塁氏・溝端友輔氏(HIGASHIYAMA STUDIO+farm+NOD)による共同設計のデザイナーズトイレです。

    湾曲した樹脂パネルで構成された外壁が特徴で、周囲の風景や光を不規則に反射してまるで蜃気楼のように景色に溶け込むデザインになっています。

    鏡面状のパネルは3Dプリンターで出力したもので、様々な角度に傾けて配置されることで乱反射を生み、見る位置や時間帯によって表情を変えます。

    水辺中央ゾーンの広場に面して設置され、会場中央寄りの来場者が集まりやすいエリアで、人気パビリオンや大屋根リングからのアクセスも良好だったこともあり、人が多く集まっていたようです。

     

    2位:トイレ8- 平均4,411人/日

    daily-toilet8出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ8は、斎藤信吾氏+根本友樹氏+田代夢々氏(斎藤信吾建築設計事務所+Ateliers Mumu Tashiro)による共同設計のデザイナーズトイレです。

    視覚・聴覚障がい者や車椅子ユーザー等とのワークショップを重ね、「こころとからだの性の多様性」にも呼応しつつ様々な国籍や宗教に配慮したデザインが特徴です 。

    異なるもの同士が集まってひとつながりの群れとなる風景を目指し、複数の大小様々なボリュームが寄り集まったような造形となっています。

    中でも一際目立つのが塔状に突き出た個室で、上方にせり上がる構造自体が象徴的なランドマークとなりました

    立地はトイレ7と同じく水辺中央ゾーンに位置し、広場エリアでアクセスは良好で多くの人が立ち寄りました。

    また、景色に溶け込むトイレ7とは対照的に、こちらはユニークな塔形状が目立つため遠くからでも存在が認識しやすく、足を向ける来場者も多かったでしょう。

    周囲の施設の混雑度も高く、トイレ需要も多かったようです。

    加えて、トイレ8はその名の通り多様性への配慮を全面に打ち出した施設であり、使い勝手やバリアフリーの面でも評価が高かったと思われます。

    こうした「使いやすいトイレ」としての安心感が、来場者にも支持され高い利用につながったと考えられます。

     

    1位:トイレ5(通称:2億円トイレ)- 平均5,421人/日

    daily-toilet5出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ5は、米澤隆建築設計事務所による設計のデザイナーズトイレです。

    1960年代の建築運動「メタボリズム」の思想を約55年ぶりに現代に蘇らせたコンセプトで、複数のカラフルな箱型ユニットを積み重ねて構築した外観が特徴となっています。

    各ユニットは独立した個室等の機能を持ち、閉会後にはユニット単位で分解して公園や広場に移設再利用する計画になっており、仮設建築ながらレガシーを残す発想であり、簡素な素材使いの中にも将来への持続性を意識したデザインです。

    「2億円トイレ」と話題にもなり、写真で見る限り外観は無骨で「仮設トイレにしか見えない」といった批判も招きましたが 、設計者自身がX上で完成写真を公開しコスト内訳や設計意図を丁寧に説明するなど誤解払拭に努めていました。

    トイレ5は、北リング外エリア(北側外周)に位置し、主要パビリオンの並ぶ北側ゾーンに隣接します。

    隣接する目玉展示館や企業館があり、人通りは会場内でもトップクラスに多いエリアで、アクセスの良さが利用者数に直接影響しているものと考えられます。

    結果として「2億円トイレ」という悪目立ちするあだ名がつきながらも、むしろそれが宣伝となり、万博に訪れた際の目的地として注目されている声も多く、好奇心から訪れる層を増やした可能性があります。

     

    デザイナーズトイレの利用者数を決めた5つの要因

    大阪万博のデザイナーズトイレ8棟の来訪者数データと各トイレの特徴を分析すると、利用者数を左右した5つの主要因子が浮かび上がってきます。

     

    1. 立地・アクセス性

    コンテンツに左右されにくいトイレという施設の特徴から、基本的には立地条件が最も重要だとデータから見てもわかります。

    特に、上位3位(トイレ5、8、7)すべてが人通りの多いエリアに集中しており、例えばトイレ5は主要パビリオンに隣接し「会場内でもトップクラスに多い人通り」のエリアに位置しています。

    一方、トイレ6は「主動線からは外れて」おり「人流も少なく、準じて利用者も少ない」状況でした。

    そのため、下位グループと比べても5倍近くの来訪者の差異が生まれています。

    上位グループ 下位グループ
    • 1位 トイレ5:北側外周の主要パビリオン隣接エリア(5,421人/日)
    • 2位 トイレ8:水辺中央ゾーンの広場エリア(4,411人/日)
    • 3位 トイレ7:同じく水辺中央ゾーン(4,066人/日)
    • 8位 トイレ6:森エリア北東部、主動線から外れた位置(1,112人/日)
    • 7位 トイレ2:西ゲート寄りの閑散エリア(1,496人/日)

    デザインや話題性以上に「そこに人がいるか」が決定的要因となっています。

     

    2. 視認性・ランドマーク効果

    初めて訪れる人も多い大阪万博では、会場内での「あれは何だろう?」という好奇心が足を向けさせる重要な動機となっていたと考えられます。

    高い視認性のトイレ 視認性に課題のあるトイレ
    • トイレ8:塔状の個室が象徴的ランドマーク
    • トイレ5:カラフルな箱型ユニット積み重ね
    • トイレ3:膜構造の高い屋根
    • トイレ6:周辺自然に溶け込み「遠目には視認されにくい」
    • トイレ7:「景色に溶け込む」蜃気楼コンセプトが裏目

    「景色に溶け込む」という美しいコンセプトが、実用面では発見性を損なうジレンマが浮き彫りになっている可能性も考えられます。

     

    3. 話題性・メディア効果

    話題性は利用者数に大きく影響しますが、その効果の方向性は、話題の種類によって大きく異なるようです。

    話題をうまく取り込んだ例 話題性が逆効果になっている例
    • トイレ5:「2億円トイレ」批判 → 逆に好奇心を刺激
    • トイレ1:構造批判・破壊事件 → メディア露出で「実物を見たい」心理
    • トイレ6:オールジェンダー議論 → 「怖くて使えない」で利用敬遠
    • トイレ2:「残念石トイレ」批判 → 文化財使用への反発

    批判的な話題でも「好奇心」を刺激すれば集客効果となるが、「利用への不安」を生む話題は逆効果となっている可能性が考えられます。

     

    4. 機能性・使いやすさ

    初回は話題性で来ても、リピート利用は機能性で決まると言っても過言ではありません。

    実際に、立地も後押ししている面はありますが、運営に支障が出るような問題も出ていないトイレ7やトイレ8は安定して利用されていました。

    機能面が高評価の事例 機能面の課題事例
    • トイレ8:障害者との協働設計、多様性配慮 → 「使いやすいトイレ」として安心感
    • トイレ7:基本機能に問題なし → 安定した利用
    • トイレ1:一方通行構造の理解困難 → 初期の利用混乱
    • トイレ6:オールジェンダー仕様 → 一部利用者の心理的ハードル

    トイレという設備の性質上、安心して利用できることこそが、利用者数につながることが数字にも表れているとも考えられます。

     

    5. コンセプトの共感性

    万博来場者の中でも、特に建築ファンや社会意識の高い層は、コンセプトへの共感で訪問先を決定していました。

    共感度が高い事例 共感されにくい事例
    • トイレ8:多様性・インクルーシブデザイン → 現代的価値観と合致
    • トイレ7:環境配慮・3Dプリント技術 → 先進性への評価
    • トイレ4:3Dプリント土壁 → 技術革新への関心
    • トイレ2:歴史的文脈(残念石) → 「文化財をトイレに?」といった違和感
    • トイレ6:哲学的水循環思想 → 一般来場者には伝わりにくい可能性

    専門的すぎるコンセプトは、建築関係者以外に響かないリスクがあると推察されます。

    建築的な先進性を保ちながらも、一般来場者が理解しやすい社会的意義を持つコンセプトが支持を集めていると考えられます。

     

    パビリオン人気度との相関分析

    万博デザイナーズトイレの利用者数データを、実際の会場配置と人気施設の関係から分析すると、以下の具体的な傾向が見られます。

     

    日中利用がピークの一般的なケース(トイレ5の事例)

    出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    トイレ5は北東工区のポップアップステージ北・リング外に位置しており、日本館などの人気パビリオンは事前予約必須で、特に午前~昼頃に集中的な来場があるエリアに近接しています。

    このため、午前中から昼過ぎにかけて多くの人が集中し、来場のピーク午前9時台を避けて入場する来場者の流れを受けて、短時間集中型の利用パターンを示しています。

    特に夕方以降は人気パビリオンエリアからの人の流れが減少するため、利用も大幅に減少していると考えられます。

     

    コンテンツ効果による夜間まで利用されるケース(トイレ8の事例)

    出典:クロスロケーションズ株式会社「Location AI Platform®」よりデータ取得(2025年6月時点)

    一方、トイレ8はシグネチャーゾーン南側のウォータープラザ近くに位置し、ウォーターカスケードの向かいにありますが、夜の時間帯まで多くの利用が見られました。

    これは、会期中毎日日没後に実施されるメインエンターテインメントである、夜の水上ショー「アオと夜の虹のパレード」がウォータープラザで開催されていることが関係していると考えられます。

    水上ショーは毎晩2回開催され、季節により19:10~/20:30~または19:30~/20:30~の時間帯で行われるため、ショー開始の約1時間前から観客が現地入りし、ショー終了後も利用が続きます。

    このため、他のトイレに比べて夜間でも一定数がトイレの利用数が維持されたと推察可能です。

    個別パビリオンの人気以上に、時間帯別の主要コンテンツがある方が、多くの来場者のトイレ利用につながっていることが、データからも読み取れます。

     

    まとめ

    今回の分析で最も興味深いのは、「話題になったトイレが必ずしも利用されたトイレではない」という事実です。

    メディアで大きく取り上げられた「2億円トイレ」(トイレ5)が1位、構造問題で炎上したトイレ1が4位となる一方、建築的に評価の高いトイレ6は最下位という結果が出ています。

    批判的な話題でも好奇心を刺激すれば集客につながる一方、利用への不安を生む話題は逆効果となることもデータ上から推察されます。

    また、パビリオンとの関連性もある程度見られますが、最も影響が大きいのは立地だとデータ上でも明らかになりました。

    上位と下位で約5倍の利用者数格差が生じており、「そこに人がいるか」という根本的な立地条件が利用に直接つながっているようです。

    一方、立地に大きな差がない場所では、水上ショーなどのコンテンツの内容や時間帯が影響すると考えられます。

    この記事を書いている6月現在、話題の水上ショーも中止となっていることから、今後トイレ利用の人流も変化するかもしれません。

     

    今後も様々な切り口で大阪万博の人流データを分析し、レポートしていく予定です。

    SNS(X・旧Twitter)でも情報発信して行きますので、是非フォローして最新情報をお待ちください。

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